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                       日本電子キーボード音楽学会の役割

日本電子キーボード音楽学会は、2004年に学会設立準備大会を開いたところから始まり、2005年から2009年までに5回の全国大会を開催してきた。
学会が設立に至ったその理由と、その役割を考えてみたい。

(1) 日本における電子楽器の生産額、すなわち楽器需要は、1984年にピアノやヴァイオリンなどのアコース ティック楽器を凌駕し、その傾向はますます大きくなっている。
1980年にピークを迎えたピアノ需要は、 その後減少の一途をたどってピーク時の数分の一にまでなってしまっている。
この原因として、少子化 による影響も考えられるが、比較的安価で高性能な電子楽器の普及によるところが大きく、鍵盤楽器全 体の需要が減少してしまったというわけではない。
かつての需要が電子キーボード(電子ピアノ、電子オ ルガン、一段電子キーボード)に軸足を移してしまっていることが挙げられる。

(2) 電子楽器登場の当初は主として趣味や音楽導入用の楽器として楽器メーカーの音楽教室を中心に普 及・ 発展してきた。
しかし最新の電子キーボードは、ハイテクノロジーの粋を集め、コンピューター機能 を内蔵するなど、過去のものとは比較にならないほど進化し、
ポピュラー音楽だけでなくクラシック音楽  の演奏や生涯教育から専門教育に至る新しい音楽的・教育的可能性を国内のみならず海外の音楽家 や教育関係者が気付き始め、
実践化が図られてきた。例えば、教員養成機関で、電子ピアノによる集 団授業やその授業方法の新しい取り組みがみられ、そこでは技能実習をこえた総合的音楽教育がなさ れている。
アメリカ合衆国ではcomprehensive
musicianship projectとしてすでに同様の教育が実践さ れている事例もある。

(3) 日本は楽器王国として知られているが、中でも電子キーボードは独断場に近いシェアを誇っている。
こ のことは世界の二大楽器ショーであるアメリカを代表する「NAMM」やヨーロッパの「フランクフルトメッセ」 をみると一目瞭然である。

(4) しかしながら、高性能の生産性を有する国であるにもかかわらず、それが音楽表現、音楽教育、生涯学 習などのソフトの面での綜合的な取り組みについては遅れていると言わざるを得ない。
今後、音楽の様々な分野の専門家はもとより、ハードの面からの協力も得ながら、学会として諸課題の 研究に取り組み、内外に向かって発信していくことが重要であると考えている。
楽器需要の変化、電子 楽器の進化に伴う新しい音楽のありかたと教育実践を見据えた研究活動を本学会の存在理由としてい きたい。

                                                    July, 2010

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